代表的な疾患

腎細胞癌

腎臓は、ソラマメ形の拳大の臓器で、血液を濾過して尿を生成したり、血圧や造血に関するホルモンを産生しています。

 

腎細胞癌とは

50歳から70歳におおく、人口10万人に男性で約7人、女性で3人程度に発生し、欧米諸国よりも低いですが、日本でも増加傾向にあります。

ゆっくりと大きくなることが多いですが、急速な悪化を示すタイプもあります。

死亡率は男性が女性よりも高く、女性の約3倍です。

喫煙と肥満(特に女性の肥満)は、腎癌のリスク要因とされています。

利尿剤服用(特に女性)、フェナセチン含有鎮痛剤や、von Hippel-Lindau病(VHL)、Birt-Hogg Dube(BHD)症候群、結節硬化症、多発性嚢胞腎など、遺伝疾患も要因として挙げられます。

 

症状

以前は、血尿や腹部の腫れ、脇腹の痛み、発熱、体重減少など進行した状態で発見されていましたが、最近では、超音波検査やCTなど、健康診断などで偶然発見される、小さな腎癌が増加しています。

診断

下記の検査で、術前に癌の性状が詳しく分かるようになってきました。

・超音波検査

・CT検査

・MRI検査

 

腎細胞がんの治療法

腎癌の治療の主体は外科手術ですが、進行度に合わせて以下の治療を併用します。

 

1.手術

・根治的腎摘除術
(腎癌のある片方の腎臓をすべて摘除する方法。) 腎部分切除術(腎癌の部分だけを摘除する方法。)

・腎部分切除術
(腎癌の部分だけを摘除する方法。)

 

2.分子標的治療

分子標的治療薬は、腫瘍細胞の増殖や血管内皮細胞の増殖にかかわる細胞内シグナル伝達を阻害することによって腫瘍の増殖を抑える薬です。マルチキナーゼ阻害剤であるスニチニブ (スーテント®)とソラフェニブ(ネクサバール®) が2008年に、mTOR阻害剤であるテムシロリムス(トーリセル®)とエベロリムス(アフィニトール®)が2010年にわが国において腎癌治療薬として承認され、使用されています。

 

3.免疫療法

インターフェロンやインターロイキン2といった自己免疫機能を高める注射薬。

 

4.放射線療法

放射線治療のみで治癒することは困難で、症状の緩和目的に行われます。主に骨、脳転移などに対して行われます。

 

5.その他

小さな腎癌に対して、ラジオ波熱凝固術、凍結手術などが試みられています。

 

当科の手術適応の特徴

手術侵襲を少なくし、早期社会復帰を目指し、積極的に腹腔鏡手術を行っています。

小さな腎癌には、長期的な腎機能温存を目指し、1986年より現在まで、123人に腎部分切除術を施行しています。

以下は2011年4月までに行った腎部分切除術をおこなったT1a症例107人の成績です。

 

全生存率

生存率

 

癌特異的生存率

癌特異的生存率

 

非再発率

非再発率

 

尿路上皮腫瘍(膀胱がん、腎盂・尿管がん)

尿路とは?

腎臓で生成された尿を輸送する経路を尿路といいます。

尿路は、腎臓、尿管、膀胱、尿道の4つの器官で構成されています。

腎臓で作られた尿はまず腎杯を通り、腎盂、尿管を流れ、膀胱にたまります。

膀胱にたまった尿は、尿道を通って排出されます。

 

尿路上皮がんとは?

尿路の内腔粘膜は尿路上皮(移行上皮)で覆われています。 この尿路上皮から発生するがんが、尿路上皮がんです。

発生した部位によって、腎盂がん、尿管がん、膀胱がんと呼びます。

 

誘因・原因

・高齢者に多く、男性に多い。
・喫煙が発症の危険因子である。

症状

・おしっこの色が赤い(肉眼的血尿)が初発症状として多く見られます。

・痛みなどの症状はないことが多いです。

・血尿がみられた場合は、できるだけ早く受診したほうがよいでしょう。

・検診で尿潜血(顕微鏡的血尿)を認めた場合も、受診をおすすめします。

誘因・原因

尿検査/尿細胞診/超音波検査/X線検査(腎盂造影、CTなど)/ 膀胱鏡、尿管鏡

 

膀胱がんの治療

進行の程度により、治療方針が決定されます。

局所においては、筋層浸潤の有無が重要です。

膀胱の筋層非浸潤がんでは、内視鏡による切除(経尿道的膀胱腫瘍切除術:TUR-BT)が行われ、膀胱は温存します。

術後の膀胱再発が30%以上の頻度で起こります。再発予防のために、抗がん剤を膀胱内に注入する治療を行います。

膀胱の筋層浸潤がんでは、膀胱全摘術が標準的治療です。膀胱全摘を行った場合は、尿路変向手術が必要になります。

尿路変向手術には、尿管皮膚瘻、回腸導管、新膀胱造設の3つの術式があります。当院では、患者様とよく相談し、最適な術式を選択します。

手術以外の治療法として、放射線治療や抗がん剤治療があります。

転移のある進行がんは、抗がん剤による治療が行われます。抗がん剤治療の大部分は、外来治療が可能です。

入院期間をできるだけ短くし、生活の質(Quality of Life:QOL)を高めるように、努力しています。

当院には、現在4名のがん治療認定医がおります。

 

腎盂・尿管がんの治療

腎臓と尿管をすべて摘出する腎尿管摘出術が標準的治療です。手術はより低侵襲な、腹腔鏡下(後腹膜鏡下)手術を積極的に行っています。

転移のある進行がんに対しては、膀胱がんと同様の抗がん剤治療を行います。

 

その他

当院には、ストーマケアの専門看護師が常勤しており、適切な装具の選択や皮膚のトラブルへの対処などを行っております。

 

当教室における腎盂尿管腫瘍手術症例 (66例)の治療成績(生存率)

術後観察期間と生存率

 

当教室における腎盂腫瘍手術症例 (66例)の治療成績(生存率)

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当教室における尿管腫瘍の手術症例 (83例)の治療成績(生存率)

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前立腺癌

佐賀県下の前立腺がん検診推進を積極的に行っています。

 

平成26-27年度佐賀県下 前立腺癌 検診 統計解析

PCA01

 

 

検診に関するデータのご紹介

PCA02

  (佐賀県前立腺癌検診協議会のデータより)

 

 

 

 

前立腺がんに対する放射線外照射療法の治療成績

当院では前立腺がんに対する局所進行前立腺がんに対し、放射線治療、およびホルモン療法併用放射線治療を行っています。 2000年1月-2008年12月の放射線治療成績。

 

対象

Stage T1aN0M0-T3N2M0

観察期間

35 か月 (6-108 か月)

照射方法

多門(4-8)照射

線量

70 Gy(60.4-74 Gy)

放射線単独療法

5例

前後にADT併用

57例(21か月)

 

全生存率

生存率

疾患特異的生存率

疾患特異的生存率

 

PSA非再発率

PSA非再発率

2年以上のホルモン療法併用はPSA非再発に有効(High risk 群に限る)

PSA非再発に有効

 

尿路結石

尿路結石の治療について

スライド1 スライド2 スライド3 スライド4

高齢者の結石性腎盂腎炎の治療成績2005年1月から2009年12月

症例数 18(男:女 5 : 13)
年齢中央値 82(76 – 98)
入院期間中央値 16日(3 – 54)
ドレナージの方法 尿管ステント 15 / PNS 0 / ドレナージなし 3

 

昇圧剤投与の有無と各指標(死亡例を除く n=15)

  昇圧剤あり(n=5) 昇圧剤なし(n=10)
抗生剤点滴投与期間中央値 83 (77-88) 80 (76-94)
入院期間中央値 1 : 4 4 : 6
抗生剤点滴投与期間中央値 18日(16-50) 12日(4-21)
入院期間中央値 18日(16-50) 5日(2-14)
抗生剤点滴投与期間中央値 4例 8例
入院期間中央値 5例 6例

 

昇圧剤投与の有無と各指標(死亡例を除く n=15)

  昇圧剤あり(n=5) 昇圧剤なし(n=10)
WBC (10*3/μl) 12.0 (7.7-18.3) 12.0 (2.5-20.7)
CRP (mg/dl) 20.2 (15.2-33.7) 15.7 (0.9-32.7)
Plt (10*4/μl) 2.9 (1.7-12.0) 13.8 (6.7-31.4)
Cr (mg/dl) 2.0 (1.7-4.5) 1.38 (0.7-4.4)

 

考察

上部尿路結石症例における緊急ドレナージのrisk factor

年齢:75歳以上

女 性

Poor Performance Status
(K..Yoshimura.2005.J.Urology)

上記に加え、初診時の血小板数低下・昇圧剤投与の有無が結石による急性腎盂腎炎の重症化の指標となる可能性が示唆された。

女性泌尿器科

女性泌尿器科疾患は、今最も注目されている分野の一つです。

QOL疾患である尿失禁や骨盤臓器脱に対する手術治療として、メッシュを用いた治療が盛んに行われている中で、佐賀大学ではメッシュを使わない手術も行っています。

これは全国でも数少ない特色です。患者さんに両者のメリットデメリットを十分説明した上で、ニーズにあった手術を選んで行っています。 手術件数は増加しており、今後も需要の増えることが予想されます。

 

 

 骨盤臓器脱について

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 腹圧性尿失禁について

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女性泌尿器科外来について

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小児泌尿器科

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生直後より大人へのcarry overまで小児泌尿器科疾患を取り扱っています。外科的治療を積極的に取り入れており、小児腹腔鏡下手術も行っています。H22年11月からは腹腔鏡下腎盂形成術も開始しました。

急性腎不全、小児尿路性器外傷、急性陰嚢症、性別判定不明瞭児などの救急疾患も対応します。

また、性分化障害等による小児の外陰部形成術、腸管利用の尿路再建術も行っています。その他、二分脊椎症をはじめとする小児神経因性膀胱の下部尿路評価および加療、ダウン症児の排尿障害治療を行っています。

 

主な疾患の入院加療の目安

木曜日入院⇒金曜日手術⇒土・日に退院

内視鏡下尿道狭窄手術、停留精巣固定術、腹腔鏡下腎摘

火曜日入院⇒水曜日手術

・尿道下裂手術…………約2週間入院

・VUR手術…………約1週間入院

・女児外陰部形成術……約10日間入院

・腸管利用膀胱拡大術…約3週間入院

 

精巣捻転症

緊急手術を要する疾患で、片側の陰嚢領域に急性な痛みと腫脹をきたす。皮膚表面の発赤を認めることも多い。 一般に発熱は伴わず、嘔気・嘔吐、腹痛で 来院することもある。急性虫垂炎、急性胃腸炎と間違わないよう、必ず外陰部の診察を行うことが重要。

 

精巣捻転を疑ったらその時点から絶飲水で至急泌尿器科へ

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精巣温存率

 

 

二分脊椎症の尿路管理

二分脊椎症では、神経障害により多くに排尿・排便障害を認めます。その排尿管理はガイドラインに基づき行われます。 ガイドラインでは5歳未満、5歳~10歳、10歳以上に分かれて管理法が提示されています。間欠導尿を基本に排尿管理を行います。自排尿は腎尿路障害リスクが低いと思われる例外的なケースです。尿路感染、腎機能障害(VUR)、尿失禁のコントロールが不良であれば外科的治療が行われます。

 

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腸管利用の非失禁型代用膀胱+臍導尿路

横紋筋肉腫等により膀胱全摘を余儀なくされた場合、非失禁型(導尿型)の代用膀胱は、小児では学校生活、日常生活でのQOLを高めます。

回盲部+虫垂あるいは回腸+回腸でのMonti法での手術を行っています。集尿袋をつけなくていいため、プールも問題なく入れます

 

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