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第80回佐賀県泌尿器科懇話会に参加しました
2019年9月28日に開催された第80回佐賀県泌尿器科懇話会に参加しました。
当科からは一般演題を二演題出させていただきました。
前田は『ニボルマブ、イピリムマブ併用療法により切除可能となった腎癌の1例』の題で発表しました。近年、どんどん治療の適応が拡大している免疫チェックポイント阻害薬の話題であり、治療が奏功し外科的切除術まで至った症例を提示しました。今後の新しい治療プランとなり得ることを提唱させていただきました。
もう一題は里地 葉先生より『馬蹄腎摘出を伴った小児献腎移植の1例』を当科で経験した小児献腎移植の症例を提示しながら発表して頂きました。小児の腎移植は、腎不全の管理のみならず、先天性の腎尿路異常に対するケアも必要なことが少なくありません。腎尿路異常の対応の例として、本症例の馬蹄腎をなぜ摘出するのか、どのように摘出したのかというのを分かりやすく提示していただきました。
特別講演として、東邦大学医療センター大橋病院 泌尿器科教授 関戸 哲利先生にお越しいただき、『過活動膀胱・前立腺肥大症治療の最近の話題~高齢者に対する薬物療法を中心として~』の題でご講演いただきました。
過活動膀胱、前立腺肥大症だけでなく夜間頻尿に関する薬物療法を中心としたお話をされ、夜間頻尿に関しては本年6月に承認された、ミニリンメルト(適応は男性における夜間多尿による夜間頻尿)のお話もあり最新の薬物療法についても学ぶことができました。
特に驚いたことは、過活動膀胱などで使用する抗コリン薬は高齢者には認知機能増悪や転倒のリスクが高まることが言われ、欧米では抗コリン薬の使用に対し注意喚起がされているということでした。また、抗コリン薬は向精神薬と同程度に抗コリン作用が懸念されている薬物であるとのことで、今後使用の適応などについては十分に検討をする必要があると認識致しました。
これからの診療に役立つ発表が多くあり、とても有意義な会となりました。
また当科にて有用な研究・診療成果があれば、発信していきたいと思います。
(文責 前田 晃宏)