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新型コロナワクチン接種時の肉眼的血尿に関して

2021.07.12
お知らせ

会員各位

 

日本腎臓学会および厚生労働省「難治性腎障害に関する調査研究」研究班より、新型コロナワクチン接種時の腎炎患者に生じる肉眼的血尿について、調査結果が送られてまいりました。
日本腎臓学会としては、新型コロナワクチン接種後に血尿が生じた患者が泌尿器科を受診された際には、腎臓内科へのご紹介をご考慮頂きますようお願い申し上げます。

 

 

日本泌尿器科学会 理事長 野々村 祝夫
COVID-19 対策委員会 委員長 武中 篤

 

 

 

日本泌尿器科学会用

 

本邦における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンは急速に接種が進んでおります。
既にお気づきの先生もいらっしゃると拝察しますが、ワクチンを腎炎の患者、特にIgA腎症の患者に接種した後に肉眼的血尿を呈するケースが散見されています。
今後、ワクチン接種の拡大に伴い肉眼的血尿を呈する患者が急増する可能性があります。
この状況を鑑み、日本腎臓学会・厚生労働省「難治性腎障害に関する調査研究(成田班)」IgA腎症ワーキンググループ合同研究班はワクチン接種後の肉眼的血尿の実態把握のために、2021年6月に日本腎臓評議員を対象としたアンケート調査を行いました。

 

日本腎臓評議員581名内科・腎臓内科339名、382施設のうち72施設(19%)より回答があり、(2021年7月1日現在)26例の肉眼的血尿陽性症例を確認しました。
このうち約3割は腎生検による組織診断が行われておらず、ワクチンで肉眼的血尿を含む尿異常が誘発された可能性があります。
また、既にIgA腎症と診断されていて、治療によって尿所見が寛解している症例で、ワクチン接種によって肉眼的血尿を呈したケースもあります。
一部の症例で血清クレアチンの上昇を認めましたが、深刻な腎機能障害には至っていないと考えられます。

 

現下の急速なワクチン接種の拡大に伴い、ワクチン接種後に肉眼的血尿を認めた場合、内科や腎臓内科ではなく、泌尿器科外来を受診する可能性が考えられます。
今回の調査結果から、ワクチン後の肉眼的血尿例の場合、腎炎やIgA腎症である可能性が高いため、尿所見や血清クレアチニンの経過を慎重に確認し、症例によっては腎生検を行う必要があると考えます。
ワクチン後の肉眼的血尿例患者が受診した際には、是非腎臓内科医への紹介をご検討いただければ幸いです。
お忙しい中大変恐縮ですが、何卒宜しくお願い申し上げます。

 

 

日本腎臓学会理事長 柏原 直樹
厚生労働省「難治性腎障害に関する調査研究」研究代表 成田 一衛
同 IgA腎症ワーキンググループ 鈴木 祐介

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